文化情報学部を卒業する際には「卒業研究 I」「卒業研究 II」の単位を取得する必要があり,そのために,文化情報学部内のゼミ・研究室に所属する必要があります.
文化情報学部では 2 年次の春学期 (2017 年度生以降生),および 3 年次の秋学期開講前 (2016 年度生以前生) に配属説明会が開催されています.日程等に関しては学部ホームページの公式情報に掲載されている情報を参考に各種手続きを行ってください.弊研究室への配属を希望される方は,以下の「配属までの流れ」にその概要を示しておくので,その指示に従ってください.
配属までの流れ
弊研究室では他の研究室とは異なり,教員コンタクト(教員と行う配属希望面接)を行う前に,研究室説明会を受講していただく必要があります.2023 年度の研究室説明会と教員コンタクトは,対面実施で実施の予定ですが,世情によっては,オンラインで行う可能性もあることを,あらかじめご承知おき下さい.
事前課題
教員コンタクトまで(研究室説明会ではありません)に各自以下の課題に取り組んでください.研究室説明会までにこのうちいくつかの課題に取り組んでおくと,研究室説明会でわからない課題の質問を大学院生に対して行ったり,取り組んでみたい研究テーマに関して,研究室メンバに相談したりすることができます.
- 課題 1: piazza プログラミングスキルチェックに出ている問題を皆さんのプログラミングスキルの把握に利用するため,まず,本サービスのアカウントを作成してください.アカウントを持っていない場合は,上のリンク先ページの「スキルチェックを受ける(新規登録)」から,ユーザ登録を行ってください.実施していただきたい課題は C015, C040, C061, C025, C029, B108, B128 のうち 3題以上です.それらに挑戦し,3問 すべてを正解して出してください.一度目で正解を導くことができなくても,何度も再チャレンジして最終的に合格できれば問題ありません. 「スキルチェック」の D〜S までの各ランクのページでは,まだ解いていない問題,既に解いた問題をランクごとにまとめて確認することができます.解いた問題の横には「詳しく評価結果を見る」というボタンが出てくるようになります.paiza特有の入力データに関する仕様があるので,まず最初に該当問題以外のD問題あたりを試しに解いてから挑むと良いでしょう.
また,2023年度から教員コンタクト時には,3問のうち1問を教員の前で説明してもらいます.これは近年登場したChatGPTなどの生成系AIによる影響を加味したもので,これらの課題はChatGPTに対して適切なプロンプトを与えることで,簡単に解を得ることができます.そのため,コンタクト時にコードレビューを行っていただくことで,プログラミングの基本的な概念を正しく理解しているかを把握する予定です.したがって,教員コンタクト時には作成した3問のコードをラップトップPCに表示,もしくは紙に印刷するなどして教員に見せることができるように準備してください.
- 課題 2: 配属希望面談ではどのような研究に取り組んでみたいのか,またその理由は何か,そしてその研究に対しどれだけ熱意をもって取り組めるかといった,研究計画に対する皆さんの熱意を確認します.そのため,自分なりに研究室への志望理由,やってみたい研究内容などを教員コンタクト時に説明できるよう準備をしてください.もちろん2年次生なので,取り組みたい研究に関してはカッチリと決まってなくても構いません.その意味では研究室への志望理由と研究テーマとの間の関係性を簡単に説明できるくらいの準備をしておくとよいでしょう.
課題で困ったときは...
社会では必要な時に同期や同じチームの仲間,さらには上司に助けを求める力も必要です.プログラミングの問題や研究計画の作成において,困っている点は,後述の研究室説明会の際に大学院生やスタッフに尋ねてください.解決のためのヒントをお伝えします.メールでの質問はもちろん,夏休み期間での研究室訪問など歓迎しておりますので,メール (milgrad@ml.doshisha.ac.jp) で問合せいただけたらと思います.
研究室説明会
研究室説明会は,弊研究室に所属する大学院生が担当します.説明会は研究室訪問という位置づけですので教員コンタクト期間に関わらず気軽に起こしください.研究室説明会への参加を希望する際は,研究室主宰の波多野にメールでアポイントメントを取ってください.アポイントメントを取る際は,まずその旨をメール(milgrad@ml.doshisha.ac.jp)にてご連絡ください.こちらから折り返し日程調整の連絡をさせていただきます.
教員コンタクト(配属希望面談)
研究室説明会への参加,および配属前課題が完了した配属希望者は,再度メールで教員にアポイントメントを取り,教員コンタクトを受けるようにしてください.アポイントメントを取る際は,メールで希望する日時を複数お知らせください.面談は 2023/9/12-2023/10/7 の期間の空き時間に随時行いますので,面接前課題の準備が整い次第,気軽に連絡を取ってください.
弊研究室が配属の際に重視する点は, GPA ではありません.配属を志望する動機,また配属された際にやってみたい研究内容,また将来歩んでみたいキャリアパスなど,学生のやる気を重視しています.
研究室配属は卒業論文を書くために行われるものではなく,卒業・修了後のキャリアに大きな影響を与えうるものと弊研究室では考えています.そのため,配属される研究室が弊研究室がベストなのかどうかを皆さん自身に考えてもらいたいため,配属希望の学生には必ず弊研究室以外の研究室をもしっかりと訪問してもらいたいと思っています.
弊研究室は,研究室での活動に真摯に打ち込むことで,自分自身を磨き上げることを目標にしている学生が集まっている傾向がありますので,少なくとも「楽して卒業したい」という人にはお勧めできません.また 「研究室の活動以外にやりたいことがある」という人はその活動と同等,場合によってはそれ以上に研究室の活動に力を入れる必要になるでしょう.各々のキャパシティをよく考えて判断してもらえたらと思います.
逆に研究会での発表や他大学との研究交流など大学生として相応しい主体的な活動を通じて自分を成長させ,社会に出るための準備を自ずと身につけたいという意欲的な学生にはピッタリかと思います.
ただ同時に,教員や研究室メンバとの相性も研究室で充実した毎日を過ごすための大きな要因にもなり得ます.弊研究室はミーティングを通じて各メンバの活動に対して,その内容のブラッシュアップのための意見を出し,よりよい成果を追求していきます.意見が出ることの是非はコメントを受けた本人が判断するべきものですが,少なくとも,自分で思うとおりに研究をしたい,他人からの意見は聞き入れたくないという方にとっては,弊研究室での毎日は苦痛でしかないでしょう.
こうしたことを十分に検討した結果,自分が進むべき道が弊研究室にあると思えたのであれば,是非配属希望を出していただければと思います.教員・スタッフ・学生一同,歓迎いたします.
Q&A
Q: 文系入学ですが卒業研究はやっていけますか?
A: はい.同じ様な質問に「プログラミングが苦手ですが大丈夫ですか?」などがありますが,どちらも「やるぞ!」という熱意があれば大丈夫だと思います.「継続は力なり」という言葉がありますが,自らの頭で考え経験を積んでいけば,必ず道が拓けてきます.途中で諦めないことが大切だと思います.
Q: 研究室にはどれくらい行く必要がありますか?
A: コロナ禍においては対面でのミーティングの実施が自粛されていたため,必要に応じてオンラインで研究ミーティングを実施していました.2022年度は講義の対面実施化に伴い,研究ミーティングも対面で実施しています.ミーティング自体は週1,2回行っていますが,自主的に勉強会やコンペ等へ参加も行っているため,充実した研究室生活を行おうと考えるのであれば週の半分は研究室に顔を出しているメンバが多いように思います.
特に大学院生や 4 年次生は,研究室メンバとの熱いディスカッションをするために,学生室 (MK502・MK306) の感染防止対策を十分に行いながら通学しています.副担当教員の選定作業や,研究計画書の執筆,夏合宿やコロキアムでの研究発表,卒業論文の執筆,卒業研究試問会など,多岐にわたる活動を行う必要があるからです.つまり,これらの充実化のためには低頻度の在室での実施は不可能施可能ではないと各自が判断しているのです.
スタッフや大学院生の指導や手助けがあって初めて,これらの研究活動が一定のレベルに到達することがほとんどです.したがって学部生はほとんど毎日,研究室に在室してスタッフや大学院生と相談をしています.したがって,この問いに対する正しい回答は「学生の能力が最初から非常に能力が高く,研究活動を独力で行うことが可能であれば,週 1,2 回程度の在室」となるでしょう.
もちろん,特別な事情により,大学から出校しないことを認められた場合は,研究ミーティングへの参加機会確保の配慮は行いますし,何らかの理由で対面での実施が不可能な場合には,コロナ禍で使えるようになったオンラインツール(Microsoft Teams, Zoom, Discord, Notionなど)を駆使して研究室活動を行うことはできます.
Q: やりたい研究ができますか?
A: はい.基本的には自分でやってみたい研究テーマを卒業研究としてもらう指導方針ですので,やりたい研究はできるかと思います.ただし,やるからには何のためにその研究を行う必要があるのか,その研究がうまくいった暁には社会にどのような形で還元することができるのかという,研究を行う上で最も重要な研究的な意義や社会的意義が論理的に説明できる必要があります.つまり単に「この研究がしたいから」という個々人の満足感を得るためだけのテーマでは研究として成立しないということです.
さらに,担当教員の専門とあまりに離れた研究テーマだと,卒業研究を行うための十分なアドバイスができない可能性がありますので,研究テーマによっては出来ない可能性があることはご承知おきください.
Q: 修士には進学せず就職予定なのですが,構いませんか?
A: はい,かまいません.配属が決まってから卒業までの 2 年と少しの間,研究室の研究活動にしっかり参加してもらえればそれで結構です.ただし,就職活動が長引いてしまうと研究に使える時間が少なくなり,卒業研究を進められない可能性がありますので,早めに就職先が決まるよう就職活動を行う際はいつになく真剣に取り組んでもらえればと思います.
ただ,研究室の立場としては就職ももちろん良いですが,専門職人材としてのキャリアを歩むというのであれば,博士前期課程への進学をお勧めしています.ウィズコロナ,アフターコロナの今後不安定な時代に,学部新卒で急いで就職しても,これまでのような安定した働き方ができるとは限りません.他の学生と同じように就職しなければならないという呪縛にかかるのではなく,専門的なスキルを学びそれを使いこなせる人材になるという主体的なキャリアパスを築いていくという意味で,進学は決して無駄にはならないと考えています.
Q: 大学院への進学の意味を教えて下さい.
A: 大学院に進学するか否かは,ご自身の将来のキャリアパスによって異なります.大学院へ進学する学生の多くは理系の学生と思われているかと思いますが,それはキャリアパスとして企業に属して開発や研究を行いたいと考えている人が多いからです.つまり,専門職人材としてのキャリアパスをお考えなのであれば,直上の Q で説明したように大学院への進学を視野にいれたほうがよいということになります.
日本の多くの企業には本当の意味での技術者が圧倒的に不足しているため,どの企業もそのような人材を得たいと思っています.ただ,そうした専門職人材にふさわしいと判断出来る根拠となる実績が得られるのは,学部 4 年次から大学院にかけて行った研究成果になります.情報系では国際会議での発表や学術雑誌への論文掲載などがそうした研究実績に該当しますが,そうした実績を有した人材を専門職として採用する傾向が強いように思います.
文化情報学部は,他の大学と同様,1,2 年次で基礎知識,3 年次で専門知識,4 年次で研究活動といったカリキュラム構成になっています.しかし,4 年次は就職活動の時期と重なってしまうことが多く,ほとんど研究実績を積むことはできません.その状態で企業が専門職の人材を採用することはほとんどないと言って良く,結局,そのような人材になりたいと思うのであれば,大学院へ進学する道を選ぶこと,これがいわゆる理系学生が大学院に進学する理由となっていると思います.
Q: 他大学の大学院に進学したいのですが,構いませんか?
A: はい,かまいません.ただ,教員の個人的な意見では,博士後期課程への進学を考えているならまだしも,博士前期課程の 2 年間のためだけに研究環境を変えることはお勧めしません.これは,環境を変えることの大変さ,博士前期課程で求められる研究の高度さを考えると,2 年間の研究期間ではあまりにも短いからです.博士前期課程を修了して就職をするのであれば,2 年次生後半から博士前期課程修了までの 4 年半を同じ環境で研究を継続することのほうが遙かに効率的です.実際,弊研究室の就職実績は他大学大学院の就職実績に引けを取りません.
なお,担当教員の専門分野外のテーマで大学院で研究を行いたいと考えている場合は,その限りではありません.その場合は,その分野と弊研究室の研究に近いテーマを模索し,卒業論文のテーマに選ぶとよいでしょう.
Q: データ科学基盤コースへの配属を希望していますが,正直,コース内での研究室の違いがわかりません.
A: 文化情報学部ではデータサイエンスというキーワードでひとまとまりにされているので,確かにその違いを認識するのは難しいかもしれません.しかし,学問的には数理科学 (複雑システム科学研究室(阿部先生)),統計科学 (統計科学研究室 (宿久先生),データ駆動科学研究室(中西先生)),情報科学 (計算情報学研究室(深川先生),弊研究室) に分かれます.
数理科学は数学とその周辺の学術分野を表すかなり広い学問分野を指しますので,実は統計科学をも含んでいると言えます.統計科学は経験的に得られたバラツキのあるデータから,数値上の性質や規則性あるいは不規則性を見いだす学問分野といえるでしょう.一方,情報科学は最近日本では情報学と呼ばれることが多くなりましたが,情報と計算の理論的基礎,およびその計算機上への実装と応用に関する研究分野を表しています.弊研究室の情報科学と統計科学とは,情報抽出の方法論の一つに統計量に基づくものがあったり,数値上の性質や規則性あるいは不規則性を見いだす方法論を計算機上で効果的・効率的に行うという点で重複しており,ご自身がどの部分に興味を持っているかによって,それらの違いを明確にできるのではないかと思います.
なお,同じ情報科学という分野で考えれば,計算情報学研究室と弊研究室は,卒業論文で扱う内容の観点ではそれほど違いを見出せないと思います.違いが出てくるのは大学院進学を考えるときになるかと思いますので,大学院進学を本学大学院文化情報学研究科で考えているのであれば,配属希望面談で教員に相談してみるとよいでしょう.
Q: 配属希望面談で研究計画について考える必要があるということですが,現状で何をしたいのかまで想像がつきません.どうすればよいでしょうか?
A: この研究計画は,細かい研究内容を聴きたいのではなく,日常生活の中で皆さんがどういうことに対して興味を持っており,その興味をどう研究室選択に活かそうとしているのかを判断するために伺う必要があるのです.一つ上の Q&A にデータ科学基盤コースは数理科学,統計科学,情報科学で構成されていると言いましたが,皆さんの興味がどの分野に興味があるのかを判断し,その興味から弊研究室とのマッチング度合いを測っているのです.難しいことを考えなくても良いので,「こんなことが卒業論文のテーマできたらメディア情報研究室のメンバになれるかな」を念頭に置きながら志望理由や研究テーマを考えてみてくれたらいいと思います.
Q: 研究室見学はできますか?
A: はい.配属希望者は,教員コンタクトを実施するまでに必ず研究室見学を済ませてください.なぜなら,研究室に配属されてからは研究室主宰と過ごす時間はそれほど多くなく,ほとんどが先輩・同期・後輩と一緒に過ごすことになります.したがって,学生が過ごす共同研究室の雰囲気をしっかりと認識していただきたいと思っています.
研究室見学は,教員コンタクト期間に関わらず,随時行っていますので,直接メール(milgrad@ml.doshisha.ac.jp)でアポイントメントをとってください.
Q: 研究室に配属後,インターンシップに行ってもいいですか?
A: はい,ぜひ行って欲しいと思います.ただし,最近は参加しても実にならないインターンシップも多く,行くなら最低2週間,できれば4週間以上のインターンシップに参加して欲しいと思っています.こうしたインターンシップでは,必ずと言っていいほどある程度の計算機スキルが求められることも忘れないようにしてください.
2週間未満のインターンシップは企業見学と何ら変わらない印象が強いので,それに参加するくらいなら,スキル磨きのために勉強会に参加したり,研究室で研究活動をしたほうが効果的だと思います.