引用論文間の関係を表現するグラフ構築とGNNによるグラフ分類を用いた論文特性予測

河野 響暉 吉丸 直希 楠 和馬 寺本 優香 波多野 賢治
雑誌・プロシーディングス名: 2025年電子情報通信学会総合大会 ISS 特別企画「ジュニア&学生ポスターセッション」予稿集
開催地(都道府県): 東京
国名(英語): Japan
言語: Japanese
出版年: 2025
出版月: 3
出版日: 2025-03-25
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概要

現代の科学研究では,既存技術や既知の現象に基づいて仮説を立て,それを検証するサイクルが繰り返される.この過程では,膨大な情報の中から知見間の関係性を正確に把握することが求められるが,これは人間にとって容易ではない.この課題を解決するため,論文引用ネットワークを活用した研究が行われてきた.しかし,従来の手法では引用論文間の関係性が明示されておらず,知見間の相互作用を適切に反映することが困難である.また,引用ネットワークは広範な探索を行う際に計算負荷が高くなるという問題がある.本研究では,対象論文ごとに引用論文間の関係を独立したグラフ構造として表現し,グラフニューラルネットワーク(GNN)を用いたグラフ分類タスクを通じて,特定論文の特性を予測する手法を提案する.提案手法で用いるグラフ構造は,対象論文が引用する複数の論文によって構築され,対象論文における引用文献の技術的立ち位置を明確化することを目的としている.これは,従来の引用ネットワークに別レイヤーを生成し,新たにエッジを追加するものである.これにより,予測過程で参照する範囲が限定されるため,軽量化も期待される.マテリアルインフォマティクス分野では,化合物の特性予測において,GNNを用いたグラフ分類の学習過程で得られるアテンションウェイトを活用し,予測結果に寄与する部分構造を特定して汎用的な知見を導き出す研究が進められている.本手法により独立したグラフを構築することで,マテリアルインフォマティクスに類似した構造が得られる.この構造を論文特性の予測に応用することで,知見間の関係を効果的に把握できると考えた.評価実験では,特定論文の学術分野を特性として設定し,提案手法によるグラフ分類の精度を検証する.本手法は,既存知見の組み合わせによって新たに生まれる知見の特性予測にも応用できる可能性が期待される.

引用情報

河野 響暉, 吉丸 直希, 楠 和馬, 寺本 優香, 波多野 賢治, 引用論文間の関係を表現するグラフ構築とGNNによるグラフ分類を用いた論文特性予測, 2025年電子情報通信学会総合大会 ISS 特別企画「ジュニア&学生ポスターセッション」予稿集, 2025-03-25.

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